懐かしむ気持ち

先日、出張で芝公園のホテルに行ってきました。

芝公園まで行ったことがなかったので、距離感を掴むために一度行ってみました。

南は新橋くらいまでならギリギリ出張可能かもしれません。

予約状況にもよるので、出張をご希望の方は一度ご連絡ください!

今回は自転車で浜離宮の脇を通って行ってみたのですが、東京って海から近いんだなと実感しました。

地図を見ればそんなことはわかるのですが、電車に乗って都内を移動していると実際の距離感はよくわからないんですよね。

浜離宮はコロナで休園していたイメージですが、もう入れるみたいでした。

帰りに寄ろうと思っていたけれど、東京タワーのイルミネーションがとても綺麗で、そちらに引き寄せられてしまいました。

東京タワーとスカイツリー、どちらが東京のシンボルかという論争が度々なされます。

僕は圧倒的に東京タワーだと思っています。

確かにスカイツリーの方が高いし新しいし派手です。

けれど東京タワーは都会のド真ん中に建っていて、周辺の建物と共に街を照らしている感じが美しいです。

ギラギラした光ではなく、蝋燭のように温かく街を内側から包み込む優しい灯りです。

東京に来た頃はスカイツリーにばかり行っていた記憶があります。

その時は新しいものが良いものだと思っていたのかもしれません。

けれど最近は古いものに趣を感じるようになってきました。

中学や高校の修学旅行で回った神社仏閣は何も面白くありませんでしたが、今行ったら楽しめると思います。

東京タワーは昭和の日本の技術の集大成です。

きっと当時あのタワーを見た人たちは、明るい未来に目を輝かせいたんだと思います。

クレヨンしんちゃんの映画で、『オトナ帝国の逆襲』という作品があります。

昔を懐かしんで手放したくないオトナたちと、未来を取り戻したいしんのすけたちが闘います。

オトナ帝国(正式名称は「イエスタデイ・ワンスモア」)の象徴的な建造物が東京タワーのような形をしています。

しんのすけがそのタワーを駆け上がるシーンがあるのですが、迫力がすごいです。

まだ観たことのない人は、ぜひ観てみてください。

風間くんが物語の序盤で「懐かしいって、そんなにいいことなのかな」と言います。

5歳児には「懐かしい」という感覚が理解できず、未来を生きたいと当たり前のように思っています。

それに対してヒロシやみさえは古き良き昭和の時代、日本がまだ希望に満ち溢れていた輝かしい20世紀に強く惹かれて過去に戻りたくなってしまいます。

子どもの頃に僕がこの作品を見たときは、風間くんやしんのすけと同じ視点で観ていました。

そのときは「懐かしい」ことの良さが理解できず、全体的によくわからない不気味な映画という印象でした。

でも大人になってからこの作品を観ると、オトナ側の視点で観ることができます。

昔を懐かしむ気持ちが理解できて、未来に生きたくないと思ってしまう気持ちもよくわかります。

観る年代によって感じ方が変わるというのは、すごくトリッキーな映画だと思います。

しかもこの映画は2001年公開で、そのときに小さい子どもを連れて映画館に行った大人は、古き良き昭和を味わった人々です。

しんのすけと同じ目線の子どもと、オトナ目線の親が隣り合って同時にこの映画を観ているんですよね。

ヒロシの回想のシーンでその親たちは何を思ったのか、気になります。

スカイツリーよりも東京タワーの方がいいと思ってしまうのは、僕自身も未来を生きたくないと思っているからなのでしょうか。

『オトナ帝国』は半年ほど前にも観たのですが、昨日もう一度観てしまいました。

今まで合計5回は観ていると思います。

最近は新しい作品を開拓するよりも、良かった作品をもう一度観たり、古い曲を聴くことが増えたような気がします。

まるで映画の中のヒロシやみさえです。

古いものを懐かしむというのは一見良いことのように思えます。

しかし、その気持ちは新しいものを否定するのと表裏一体で、現状に満足して成長を否定しているような気もします。

最近は新しく知り合う人に年齢の割に落ち着いているとよく言われます。

きっとそれは落ち着きとか余裕とかではないと思います。

同年代のノンケだったらこれから誰かと結婚して子をもうけてなど、大変かもしれないけれど希望に溢れてもいる未来が待っています。

僕は結婚するつもりもないし、マッサージのおかげで年配のゲイの人がどんな生活をしているのかがだいたいわかります。

自分の中でこうなるんだろうなというある程度の未来が予測できてしまいます。

子どもは持てないし、結婚して家族の分も稼がなければならないというストレスからは解放されています。

多分、落ち着いて見えるのはその「未来への諦め」に近いのかなと思います。

なんだか暗い話になってしまいました笑

ただ、独身ゲイの将来が孤独で悲惨なだけかというと、実際はそうでもないのかなとも思います。

経済的基盤がしっかりしていて知的好奇心が旺盛な人はいくつになっても楽しそうに見えます。

やっぱり、人間は成長したり未来に希望を持ったりしていないとダメなのかもしれないと思いました。

自分の中でそういうことを考えてなのかはわかりませんが、最近新しく資格の勉強を始めました。

マッサージの仕事は好きですが、入る予約には波があるのでどうしても暇な時間が生まれてしまいます。

予約待ちの時間にいつでもできるような仕事がしたいなと思って勉強しています。

久々に勉強していますが、やはり何かを学ぶというのは楽しいですね。

昔を懐かしむ気持ちも大切ですが、常に新しいものを取り入れたり、挑戦したりできる人になりたいです。