イギリスのLGBT団体、ストーンウォール(Stonewall)の問題点

こんにちは。最近は雨が降ることも多く、梅雨が近づいているのを感じます。

雨の日は外出が億劫になりますが、紫陽花が大きくなっていくのを見るのが楽しいです。

さて、6月はプライド月間(LGBTQ+の権利を啓発する活動が行われる期間)だそうです。

レインボーフラッグを掲げるなら、梅雨明けの7月にすればいいのにと思っていました。

6月である理由は、この運動がアメリカから始まったからだそうです。

それは今から54年前の1969年6月、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」で起こった暴動が由来だそうです。

ストーンウォールの暴動について、Wikipediaに詳しく書かれてあるのですが、長いのでChatGPTに教えてもらいました。

 ストーンウォールの反乱(Stonewall riots)は、1969年6月28日から7月3日にかけて、アメリカ合衆国ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにあるゲイバー、ストーンウォール・インで発生した一連の抗議活動です。これは、LGBTQ+コミュニティが警察の過剰な取り締まりとハラスメントに対して抵抗したもので、現代のLGBTQ+権利運動の火付け役となりました。

 当時、同性愛行為はアメリカの多くの地域で違法であり、LGBTQ+の人々が自由に集まることができる場所は非常に限られていました。ニューヨーク市警は、そうした場所の一つであるストーンウォール・インに対して頻繁にレイドを行っていました。

 1969年6月28日の夜、警察は再度ストーンウォール・インをレイドし、数多くの人々を逮捕しようとしましたが、この時は通常と異なり、LGBTQ+コミュニティのメンバーたちが反抗しました。これが反乱の開始となり、数日間にわたる衝突につながりました。

 これらの反乱は、それまで社会の周辺部に追いやられていたLGBTQ+コミュニティによる公然とした抵抗の象徴であり、その後のLGBTQ+権利運動に大きな影響を与えました。ストーンウォールの反乱の1年後、1970年6月28日には、ニューヨークで最初のゲイプライドパレードが開催されました。これが現在のプライドパレードの起源となり、世界中の多くの都市で毎年開催されています。

当時のアメリカのLGBTを取り巻く環境には同情すべきものがあります。

ゲイマッサージができるのは、長い世界の歴史を見ると幸運なことなのかもしれないと思いました。

ストーンウォールの反乱は起こるべくして起こったものだと思いますし、その後の流れについても理解できます。

しかし、現在のイギリスにはこの反乱から名づけられたLGBTの権利団体、「ストーンウォール」という悪名高い団体があります。

当初はLGBのための運動をする団体だったようです。

しかしヨーロッパ各国で同性婚が認められるとともに、活動意義がなくなり、トランスジェンダー権利の運動へと移行していきました。

この団体がイギリス社会を混乱させ、今では反発運動も起きています。

このストーンウォールという団体について調べていたのですが、おもしろかったです。

イギリスの People Management の記事、「なぜ企業はストーンウォールのダイバーシティプログラムから離れるのか?」という記事がわかりやくすまとまっていました。

今回はこの記事を翻訳して紹介していきたいと思います。

記事本文

原文: Why are employers leaving Stonewall’s diversity programme?

なぜ企業はストーンウォールのダイバーシティプログラムから離れるのか?


 ストーンウォールはトランスジェンダーの権利と言論の自由に関する議論の中心となっており、大手組織がストーンウォールの多様性受け入れ支援から手を引く原因になっている。

フランシス・チャーチル 2021年7月15日

 設立の20年前に起きたストーンウォールの反乱が名前の由来である、LGBTQ+の権利団体ストーンウォールは、1989年に設立されて以来、ヨーロッパ最大のLGBTQ+の権利団体であり、ゲイ、レズビアン、そしてバイセクシャルの権利を求める運動の最前線に立ち、2015年にはトランスインクルーシブとなった。

 しかしここ数ヶ月、ストーンウォールはトランスジェンダーの権利に関する議論の中心となっている。ストーンウォールは個人が選んだ性別になれるべきだという考えを堅持しているが、同時にこの問題に関する言論の自由を抑圧し、女性に有害だとも言われている政策を企業に採用するよう働きかけているとして非難されている。

 職場での多様性促進のためのダイバーシティ・チャンピオン・プログラムの一部であった多くの有名企業も、最近ストーンウォールとの提携を終了した。その中には Channel 4、Ofsted、内閣府、英国の平等監査機関である平等人権委員会(EHRC)などがあるが、最後の2つはこの制度はもはや金銭的に見合う価値を提供していないと述べている。

 しかしながら、この議論の背後には何があるのか、法的立場はどうなっているのだろうか。People Management はこの問題を検証する。

ストーンウォールのダイバーシティ・チャンピオン・プログラムとは?


 ストーンウォールのダイバーシティ・チャンピオン・プログラムに登録し、費用を支払っている企業は、LGBTQ+の問題についてストーンウォールから支援を受ける。ストーンウォールは850以上の企業と協力しており、専門知識、助言、最善の取り組みを提供し、企業の多様性に関する方針の策定と実施を援助しているという。

 加えて、この制度のメンバーはストーンウォールの職場平等指標とグローバル職場平等指標に入れられ、他の企業と比較される。このリストは、LGBT多様性上位100社の年次概要報告として発表される。

なぜ企業はこの制度から離脱するのか?


 企業が挙げている理由の多くは、この制度がもはや金銭的価値に見合わないからというものである。リズ・トラス平等大臣が同じ理由で政府機関はこの制度から撤退すべきだと示唆したという報道さえあった。(後の声明で、彼女は外部との関わりに関する決定は「個々の部門に委任された」と述べた。)

 しかし、ストーンウォールはトランスジェンダーの権利に関する立場について反発を受けており、これが複数の企業が制度から手を引いた理由であると報じられている。ストーンウォールは自分が選んだ性別になれるべきだと主張しているが、この考えに賛同しない人々(例えば、トランスジェンダー女性が女性専用の施設を使用したり、女性のスポーツ競技に参加したりするのを許可することは、女性の権利を侵害していると主張する人々)にトランスフォビア(トランス嫌悪)であるというレッテルを貼ることで、この問題に関するいかなる議論をも封じ込めようとしていると非難されている。また、イギリスの法律では現在、セルフIDは認められておらず、性別変更は2004年の Gender Recognition Act (性別認識法)により規定されており、性別違和の医学的診断が必要であるという批判もある。

 ストーンウォールはまた、2010年の平等法には「ジェンダーアイデンティティー」の保護が含まれているという誤った助言をしたり、ストーンウォールのダイバーシティ・チャンピオン制度を利用し、企業に対して他のグループに悪影響を及ぼすとも懸念されているトランス支持の方針(例えば、トランス女性が女性専用スペースに入れるようにしたり、ジェンダーに中立な言葉の使用を強制するなど)を採用するよう働きかけているとして非難されている。トランス支持の方針は、女性の安全や権利への脅威ではないと主張する団体もある。

 この問題は、ストーンウォールがジェンダークリティカルな(トランス排除的な)フェミニストの発言を封じ、大学に誤った助言をしたという、ダイバーシティ・チャンピオン制度から手を引いたエセックス大学の報告書によって最高潮に達した。

ストーンウォールはこの問題について何と言っているのか


 ストーンウォールは、ダイバーシティ・チャンピオンプログラムが言論や議論の自由を抑圧しようとしているという、いかなる主張を否定している。「プログラムと私たちのスタッフは、いかなる組織の広範な意思決定に影響を持ちません」と声明で述べた。また、最近行われた検察局のダイバーシティ・チャンピオンプログラムのメンバーシップに対しての司法審査について、裁判官が議論の余地のある主張がないと判断し、棄却されたことについても言及した。

 「国の慈善団体が国の意思決定者と関わるのは至極当然のことです。また、サービスの提供を直接支援するために、国の慈善団体が公共部門の組織に個別にサービスを提供することも自然なことです。」とストーンウォールは述べた。

 ストーンウォールはまた、平等法に関してのアドバイスの正確性が「強固で正しい」ものであるという考えでいる。同法は「性別適合の広範な定義」を示し、この法による保護は「出生児の性別から離れることを”申告”すればすぐに適用される」としている。


 エセックス大学の報告書について、ストーンウォールはその主張には「何の根拠もなく」、「報告書で述べられている決定には全く関与していない」と述べた。また、ジェンダーに中立的な言葉の問題については、人事における「mother」や「father」のような語の使用を止めようとしているのではなく、企業に「mother and other pregnant employees/birth parents」などのような、より包括的な用語を使用するよう呼びかけていると述べた。

 ストーンウォールはまた、ダイバーシティチャンピオンプログラムのメンバーシップが6月までの1年間で30社増加したと述べ、2001年に同制度が設立されて以来、多くのより大きな団体が独自の多様性プログラムを開発してきたと指摘している。

企業は法的な観点から何を考慮するべきか


 どのような人が同性スペース、とりわけ女性専用スペースに入れるかという議論は、トランスジェンダーの権利に関する議論での主要な争点の1つである。現状では、平等法は「正当な目的を達成するための相応の手段」であれば、トランスジェンダーの人々を同性スペースから排除することを認めている。

 しかし、「可能な限り制限的に適用されなければならず、トランスセクシュアルへのサービスの拒否は、例外的な状況でのみ発生しなければならない」という制限が追加されており、企業が一律的な方針を避け、個々の状況に応じて男女別スペースへの侵入制限を適用するべきであることを意味している。

People Management は人事に関しての記事を出しているので、このような終わり方になっています。

ストーンウォールの問題点について、コンパクトにまとめていると思いました。

ただ、イギリスの国内事情を知らないと理解できない部分が多々あります。

ここからは、記事の内容と関連するイギリスの国内事情や法律についても見ていきたいと思います。

平等法の誤った解釈

イギリスの法律では現在、セルフIDは認められておらず、性別変更は2004年の Gender Recognition Act (性別認識法)により規定されており、性別違和の医学的診断が必要であるという批判もある。


 ストーンウォールはまた、2010年の平等法には「ジェンダーアイデンティティー」の保護が含まれているという誤った助言をしたり、

この指摘の中身は複雑ですが、非常に重要な点です。

結論から言うと、ストーンウォールがイギリスの法律を恣意的に解釈し、LGBTQ+の専門家を会社や組織に派遣させ、誤った教育をしていました。

この2010年平等法についてですが、内閣府のHPに日本語訳があります。

日本語だけではわかりづらいので、日本語訳に原文の英語も載せながらイギリスの平等法を読んでいきたいと思います。

この法律は、年齢、障害、性適合、婚姻及び市民的パートナーシップ(同性婚)、人種、宗教・信条、性別、性的指向を理由とする差別を禁止しています。

以下はその内の「性適合」の項です。

7 性適合(gender reassignment)

(1)性適合(gender reassignment)という保護特性を持つ者とは、性の生理学的その他の特質を変更し自己の性を再適合する目的で、ある処置(または処置の一部)の実行を計画し、実行中であり、または実行した者をいう。

(2)性転換者(transsexual)とは、性適合という保護特性を持つ者をいう。

(3)性適合(gender reassignment)という保護特性に関して、

  (a)特定の保護特性を持つ者とは、性転換者(transsexual)をいう。

  (b)保護特性を共有する者たちとは、性転換者(transsexual)たちをいう。

性転換者(transsexual)を保護するためにある文章です。

この法文を読む上で重要なのは、「性転換者(transsexual, 下の図では左下の Trans man と Trans woman がこれにあたります)」と「トランスジェンダー(trans gender)」は別物であるということです。

トランスジェンダーというのは umbrella term (総称) のようです。

画像: https://queercult.org/2021/05/20/sharing-the-umbrella-the-crossover-of-transgender-and-nonbinary-terminology/

国連の定義



トランスジェンダー/トランス


トランスジェンダー(「トランス」と短縮されることもある)は、性転換者(transsexual)、異性装者(cross-dressers)(トランスヴェスティズム(服装倒錯者)と呼ばれることもある)、第3の性として認識する人々など、外見や特徴が典型ではない性別として認識する幅広いアイデンティティを表すために使用される総称である。トランス女性(transwoman)は女性であると認識するが、生まれたときには男性に分類され、トランス男性(transman)は男性であると認識するが、生まれたときには女性に分類するのに対し、他のトランスの人々は性別二元論(gender-binary)によっては認識しない。トランスジェンダーの中には、手術を望んだりホルモン剤を服用したりして自身の体をジェンダーアイデンティティ(性同一性)に合わせたりする人もいるが、そうでない人もいる。

専門用語ばかり疲れますが、性転換者(transsexual)とはトランスジェンダーの下位概念であることがわかります。

国連の定義によれば、ただ女装する人もトランスジェンダーですが、性転換者(transsexual)ではないためイギリスの平等法の保護対象ではありません。

ストーンウォールは「トランスセクシュアル」を「トランスジェンダー」に置き換えて解釈し、平等法はセルフID(性自認)を認めているという誤った解釈を広めました。

LGBT当事者の僕でさえ、調べるまでトランスジェンダーとトランスセクシャルが同じではないとは知りませんでした。

大部分の日本人はこの2つを混同していると思います。

おそらく大部分のイギリス人もそうだったために、ストーンウォールの言うことを信じていたのでしょう。

イギリスの平等法に倣えというのであれば、日本にはすでに性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が存在します。

また、日本国憲法第14条では「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、 信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とされています。

現状、日本に新たな法律が必要なのかは疑問です。

ちなみに触れておくと、イギリスの平等法では性的指向に関しては以下のようになっています。

12 性的指向(sexual orientation)

(1)性的指向(sexual orientation)とは、ある者の下記の者たちに対する性的指向をいう。

  (a)同性(same sex)である者たち

  (b)異性(opposite sex)である者たち

  (c)いずれかの性別(either sex)の者たち

(2)性的指向(sexual orientaion)という保護特性に関して、

  (a)特定の保護特性を持つ者とは、特定の性的指向(sexual orientation)を持つ者をいう。

  (b)保護特性を共有する者たちとは、同一の性的指向(sexual orientation)を持つ者たちをいう。

ここでは生物学的な性(sex)の話をしており、いわゆるQ+の社会的な性(gender)については述べられていません。

以上を踏まえると、LGBT法案に関する松岡氏の以下のツイートは誤りであることがわかります。

平等法では性自認は認められていません。

https://twitter.com/ssimtok/status/1652254882966159360

読み込めないので画像で↓

松岡氏はストーンウォールと関わりがあるようなので、彼らの言い分を信じてこのように発言していた可能性もあります。

しかし、それと同時に今ストーンウォールがイギリスで問題になっていることを知らないはずがないと思います。

これはどちらにせよ問題ですよ。

わざと誤った解釈や事実を広めたのなら普通に問題です。

故意ではなかったとしたら、当事者の代表かのようにLGBTの権利活動をしている人が、誤った情報を広めているということになります。

事実や法律を恣意的に解釈するような人たちがいる中で、何の制限もなく「差別は許されない」なんて法律があったら、社会はどうなるでしょうか。

イギリスのように混乱に陥ると思います。

そもそもイギリスの平等法も9つの特性への差別に限定された法律です。

ちなみに、以下の The Guardian の記事によると、現在イギリスではこの平等法の「性」の再定義が行われており、明確に「生物学的な性」にしようとしています。

平等法の変更は、トランスジェンダーや男女別スペースにどのような意味を持つだろうか。

日本語でもこの法改正に触れている記事がありました。

イギリスが「トイレは男女別」を義務付けた理由 活発化するトランスジェンダーをめぐる議論

イギリスでは中央政府がスコットランド政府に法案取り消しをしたそうですが、その権限が行使されるのは今回が初めてだそうです。

大きな論争になっていることがわかります。

ちなみに、先日見ていたYouTubeの動画なのですが↓

この動画の4:00〜からイギリスの映像が流れます。

まるで現在進行形のイギリスの平等法に関する論争など存在しないかのような報道です。

都合の良い部分しか報道しないのはどうなのでしょうか。

エセックス大学の報告書

さて、記事内容の別の部分について見ていきましょう。

この問題は、ストーンウォールがジェンダークリティカルな(トランス排除的な)フェミニストの発言を封じ、大学に誤った助言をしたという、ダイバーシティ・チャンピオン制度から手を引いたエセックス大学の報告書によって最高潮に達した。

これについては以下の英語記事がわかりやすいです。

エセックス大学がストーンウォールに反抗する

簡単に言えば、エセックス大学がストーンウォールからのアドバイスにより、トランス排他的なフェミニストの教授2人から言論の自由を奪ってしまったことを謝罪し、ストーンウォールを厳しく批判しているという内容です。

イギリスの大学でこんなことが起きていたのかと思うとショックです。


私は君の意見には反対だ。だが君がそれを主張する権利は、命を懸けて守る。

ヴォルテール

イギリスの自由社会に大きな影響を受けたフランスの哲学者、ヴォルテールの言葉とされるものです。

イギリスは言論の自由が保障された国であってほしいと個人的には思います。

検察局へのストーンウォールの影響

また、最近行われた検察局のダイバーシティ・チャンピオンプログラムのメンバーシップに対しての司法審査について、裁判官が議論の余地のある主張がないと判断し、棄却されたことについても言及した。

これについては以下の英語記事を。

15歳の学校に通う少女、LGBT団体ストーンウォールとの関連を理由に検察局が「トランス寄りのイデオロギーを採用している」として高等裁判所に異議申し立てをし、敗北──裁判官は彼女の「議論の余地のない」偏見の主張を却下

イギリスの検察局がストーンウォールと提携を結び、検察官にトランス寄りの教育をしていることが司法に悪影響を与えており、それが違法であると匿名の15歳の少女により訴えられたものです。

確かにストーンウォールの制度に入っていること自体はなんら違法ではないので、この申し立ては難しかったのかもしれません。

しかしイギリスの検察局は、この People Management の記事が書かれた2ヶ月後にストーンウォールのダイバーシティ制度から撤退したそうです笑

イギリスの企業や組織が正気に戻ってきてよかったです。

J.K.ローリングの発言が炎上した理由

以前、ハリーポッターの原作者であるJ.K.ローリング氏の発言が炎上したことがあります。

翻訳: 「『生理のある人(People who menstruate)』たしかそんな人たちを表す言葉があったはずなんだけど。誰か助けてほしい。Wumben? Wimpund? Woomud?」

「生理のある人」というタイトルの記事に対して、「それは『女性(Women)』でしょ」と言っています。

当時、僕はなんでこんなツイートが炎上しているのかわかりませんでした。

ローリング氏の定義だとトランス女性が含まれないからだそうですが、全然理解できませんでした。

ハリー役のダニエル・ラドクリフも批判していて、ハリーポッターの同窓会番組にも原作者のローリング氏だけが呼ばれないほどのバッシングに遭っていました。

「トランス女性は女性である」というストーンウォールの正義の風潮が、当時のイギリスには充満していたからなんだと、今になってやっとわかりました。

ローリング氏は女性専用スペースの重要さを説いており、女性の権利とトランスジェンダーの権利の訴えがぶつかっている構図です。

この2つはちょうど「あちらが立てばこちらが立たず」の状態です。

両方の権利を理想通りにすることはできません。

けれど今のイギリス国内の雰囲気を考えると、ローリング氏へのバッシングはどんどん弱まっていくと予想されます。

日本のLGBT団体はどうなるか

現在、日本ではLGBTの法制化が遅れていると繰り返し言われています。

「G7の中で唯一日本だけが」という主張が多いです。

しかし、G7は日本以外の国がキリスト教国であるため、同性愛差別禁止の法制化が必要なだけです。

欧米が正しいという価値観は、幕末までにしてほしいものです。

それこそ古い価値観だと思います。

本当にアメリカが正しいのならば、日本は今すぐに銃規制をやめて国民皆保険を廃止するべきです。

イギリスの混乱した社会を見て、わざわざ同じ轍を踏む必要はありません。

いわゆる革新的な社会制度は、ヨーロッパ諸国の社会実験を見てから導入を考えるくらいが、社会全体としてはちょうどいいのかなと思いました。

また、日本のLGBT団体が法制化を急いでいるのは、ストーンウォールの化けの皮が剥がれ始めているからなんじゃないかと思いました。

ストーンウォールのダイバーシティチャンピオン制度は、以前に触れたジェンダーレストイレが生まれた原因と思われるプライド指標と同じものです。

日本のLGBT団体はストーンウォールにノウハウを学んだのでしょう。

国民が虹色から発される胡散臭さに気づく前に法制化してしまいたいのだろうなと思います。

ストーンウォールや日本のLGBT団体のように、自分たちの理想を求めることについては悪いことだとは思いません。

しかしその理想を実現するために、現実にある事実や法律、権利を侵害される人々を無視してしまっていると思います。

こんなことを続けていたら、日本のLGBT団体もいつかストーンウォールのように国民から見放されてしまうでしょう。

ジェンダーレストイレ〜LGBTの権利運動に思うこと〜

最近はLGBT関連のニュースをよく耳にしますね。

中でも歌舞伎町タワーに設けられたジェンダーレストイレのニュースは議論を呼びました。

この手のニュースには必ずLGBT当事者団体だとかの意見が出てきます。

個人的にはこの活動家の人たちの意見には同意できないものが多いです。

彼ら活動家の考えは、一般のLGBTとかけ離れていると感じます。

カマたくさんはジェンダーレストイレの必要性に疑問を呈しています。

このカマたくさんのポカーンみたいな表情が、今の一般のLGBTの心情を物語っているなと感じました。

楽しんごさんもLGBT法案に反対しています。

当事者たちがどんどんクエスチョンを出し始めています。

けれどメディアは「差別されている可哀想なLGBTたち」を求めており、それを広めています。

そのせいで社会全体ではLGBT=めんどくさい人たちのような印象がつきつつあります。

過激な声ばかりが取り上げられていて、そんな意見とは無関係な一般のLGBTたちが余計に生きづらくなっています。

同性婚

そもそも活動家の人たちは、本気でLGBTの権利向上を目指しているのでしょうか。

彼ら革新派の人たちは、ただ単に世の中に不満のある弱者を味方につけたいだけなのではないかと思ってしまいます。

LGBTの抱える代表的な問題として、同性婚ができないことが挙げられます。

活動家は国に同性婚を認めさせようとしていますが、まず憲法上、同性婚はできません。

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

憲法24条

結婚は「両性の合意のみに基づいて成立」するとあります。

男と女がするものだと書いてあります。これは小学生でもわかります。

同性婚をするには、どうしても憲法を改正しなければなりません。

しかし革新的な活動家たちは、憲法を改正するよう努めるわけではありません。

彼らは「現憲法の『両性』とは、男女とは限らない(現憲法でも同性婚は可能)」と主張します。

意味がわかりません。

その次の「夫婦」はどうなるのでしょうか。

どう考えても無理筋な主張ですが、彼らは「憲法を改正しろ」とは言いません。

なぜならそれが憲法9条改正のきっかけになってしまうからです。

そのため無理やりな主張を通すしかありません。

このことからもわかるように、彼らにとっては改憲反対が最優先であり、同性婚なんてテーマは二の次です。

憲法24条を改正しようとしないなんて、同性婚について本気で向き合っていないと僕は感じます。

「偽善」という言葉がふさわしいです。

ジェンダーレストイレ

話を元に戻しますが、あのジェンダーレストイレは誰が、誰のために作ったトイレなのでしょうか。

ジェンダーレスの方々はこのようなトイレがなければ本当に困るのでしょうか。

他人と壁で隔てられている空間に何を求めるのでしょうか。

多目的トイレではダメなのでしょうか。

そもそも、今まではどうしてきたのでしょうか。

謎が謎を呼ぶばかりです。

個人的には、活動家の人たちは、性差のシンボルである「トイレ」から「性別」という概念をなくそうとしているのかなと思いました。

性差がないという物理的な既成事実を作れれば、憲法24条の解釈に変更の余地が生まれると考えているのかもしれません。

トイレを変えることで同性婚を可能にしようとしているのかもしれません。

そのためにはトイレを使用するにあたってのLGBT当事者や、性犯罪に怯える女性の気持ちなどは関係がありません。

その結果、あんな議論を呼ぶトイレができてしまったのではないでしょうか。

何か裏がなければあんなジェンダーレストイレが推進されるはずがありません。

歌舞伎町タワーのように私企業が勝手にやるならいいのですが、渋谷区では公衆トイレもジェンダーレス化しています。

カマたくさんはお金が動いているんじゃないかと思っています。

僕もお金は絡んでいると思います。

弱者ビジネス

若年女性を性被害から守るという名目で活動をしていた、とある一般社団法人の公金不正会計の件が話題になっています。

世の中への不満や憎悪、分断を煽り、そこから生まれる負のエネルギーを金儲けや政治活動に利用する人が、この世には存在します。

福祉は国から安定的に大金が入るため、弱者ビジネスは成功しやすいです。

しかしよくもまぁこんな悪魔的なビジネスを思いつきますよね。

思いついたとしても実行できるのがすごいし、本当に悪魔なんじゃないかと思ってしまいます。

ちなみにLGBTについても既にたくさんのNPOが誕生しています。

まともなNPOであることを願いますが、LGBT団体の動きとその一般社団法人の動きは似ていないでしょうか。

その一般社団法人は売春していた少女たちを保護していました。

しかしそもそも彼女たちは自由意志で売春をしていました。

それを男性に性的搾取されているだとかなんだとか言って行政から多くのお金を支給されています。

この弱者ビジネスを続けるためには、女性は性搾取から保護されるべき、可哀想な弱者でなければなりません。

そのため、その一般社団法人は女性差別について声高に叫んでいました。

これは今のLGBTと似ています。

日本には二丁目も存在しているし、最近までLGBTは普通に共存できていました。

キリスト教圏のように迫害に遭っているわけでもありません。

そこに突然欧米の価値観を持ち込み、差別されてきたと言い、権利を主張し始める人たちが現れました。

この動きに流されて世の中に怒り狂っているLGBTが増えてきたような気がするのですが、少し冷静になってほしいです。

この動きでLGBTが怒り狂っても、得をするのは活動家団体とトイレ施工業者くらいです。

現にLGBTは社会の腫れ物のような存在になりつつあります。

自分たち自身でより”生きづらい”世の中に変えてしまってはいないでしょうか。

自分の置かれた環境に不満を持つのは時間の無駄です。

それよりも自分が変わるように努力した方が、自分のためにも心のためにもいいと思います。

追記

Twitterでいろいろな意見を見ていたら、面白いツイートを見かけました。

https://twitter.com/123cdef/status/1649971446989623298

こんな指標を作って企業からお金をもらうビジネスがあるんですね。

軽く調べてみましたが、「Pride指標」と「レインボー認定」という2つの審査を受けるには11万円かかるそうです。

多くの企業が毎年審査を受けているそうなので、かなりの利益になりますね。

弱者とか福祉とかって、利用すれば本当にお金になるんだなと思いました。

企業の側からすればLGBTのために努力したはずなのに、女性からは批判され、当事者たちからも不要だと言われて可哀想です。

LGBTが触らぬ神になってしまう未来は、すぐそこなのかもしれません。

杉田水脈批判に思うこと〜生産性がないことは悪なのか〜

LGBTは生産性がないという発言で有名な杉田水脈議員が、また話題になっていますね。

杉田議員の記事全部を読むと、個人的にはそこまで悪質なことを言っているとは感じませんでした。

当該記事の全文を載せている方がいたのでリンクを貼っておきます。

あの発言は少子化問題に焦点を当てたものでした。

その点では、LGBTは子どもを生めないから生産性がないというのは事実だと思います。

子どもを生めない女性が、子どもを生める女性と比べて生産性がないことと同じです。

ただ、全文を読んでいないまま「生産性がない」とだけ聞かされたら否定的な感じがするし、不快になりますよね。

僕も望んでゲイになったわけではないですし、持てるものなら子どもを持ちたいです。

杉田議員を擁護する人と批判する人が生まれるのは、このように1つの発言に対する見方が違うからだと思います。

擁護する人は事実をベースに発言を見ています。

批判する人は道徳や正義をベースに杉田議員を批判しています。

お互いの考えの軸となっているものが違っており、それぞれの見方ではどちらも正しいです。

そのため議論はずっと平行線のままです。

今回はそこから一歩踏み込んだ、LGBTの存在についての生物学的な見方をしてみたいと思います。

なぜ生産性のないLGBTが存在しているのかという疑問を解くヒントになるかもしれません。

なぜLGBTは自然淘汰されなかったのか

まず、なぜLGBTが存在するのかについて考えていきたいと思います。

ダーウィンの進化論によれば、生物は生存に有利な形質が残り、不利な形質は淘汰されていきます。

では、子を残さないLGBTはなぜ淘汰されなかったのでしょうか。

神様のいたずらでしょうか?

そうではないでしょうね。

LGBTの形質が淘汰されなかったのは、その形質が必要だったからです。

子を残さない形質というのは、人間のLGBTに限った存在ではありません。

たとえばアリやハチは女王しか子を産みません。

自然淘汰説に従えば、女王しか子を産まないのだから、子を産む形質ばかりが残るはずです。

しかし実際には子を産まない働きアリと働きバチばかりが存在しています。

この進化論の矛盾は、ダーウィン自身も認めていました。

血縁選択説

このダーウィン進化論の欠点に対して、「血縁選択」という新しい説を提唱したのがハミルトンという学者です。

血縁選択説についてはWikipediaのページをご参照ください。

https://ja.wikipedia.org/wiki/血縁選択説

要は、自らの子孫を増やすのではなく、血縁者の繁殖成功を手伝うことで自分に近い遺伝子を残し、群れの生存可能性を高めるという繁殖戦略があるということです。

食糧で考えるとわかりやすいです。

各々の子どもたち全員に少ない食糧を分け与えて全員が餓死するのではなく、子どもを作らない個体が自分の兄弟の子どもたちに食糧を分け与えることで、甥や姪は餓死せずに生き残れるということです。

子を残さないLGBTにこの血縁選択の考えを当てはめるとどうなるでしょうか。

LGBTは敢えて子を残さないことで、自分に似た遺伝子を持つ他の血縁者の子孫を残すのを手伝っている、という説を立てることができます。

甥っ子や姪っ子を可愛がっているゲイの人をよく見てきました。

自分の実感としてもLGBTが種のヘルパーとして存在しているという説はありえると思います。

その他の説

LGBTが存在する理由にはいくつかの説があり、上の例はその1つに過ぎません。

他の調査によると、ゲイの血縁者には子をたくさん産んでいる女性が多いことがわかったそうです。

子孫をたくさん残すために「男好きになる遺伝子」なるものが存在していて、それが男性に遺伝するとゲイになるという面白い説もあります。

なんだか身も蓋もないような気がして、個人的にこの説は好きではないのですが笑

けれどこの説が正しいとしても、「男好きになる遺伝子」は自然淘汰されてこなかったことがわかります。

つまりLGBTの中に存在するこの遺伝子は、種の保存のためには必要なものです。

一見生産性のない無意味な存在であっても、生物である限り生まれてきた理由は必ずあります。

働きアリの法則

アリの話で思い出したのですが、みなさんは「働きアリの法則」というものをご存知でしょうか。

アリのコロニーには、働くアリが2割、普通のアリが6割、働かないアリが2割いるそうです。

面白いのは、働く優秀なアリだけを残したコロニーでも、2割が働くアリ、6割が普通のアリ、2割が働かないアリになってしまうことです。

働かないアリには生産性がありませんが、一定の割合で必ずいることから考えると、コロニーにとって必要な存在であることがわかります。

実はこの働かないアリたちは、他のアリが疲れて休むときに代わりに働き出すそうです。

全部のアリが働いて同時に疲れて休んでしまうとコロニーが回らなくなるため、働かないアリが一定の割合で存在しているそうです。

生産性がなさそうに見えるけれどコミュニティの存続のために必要な存在という点で、LGBTに似ているなと感じました。

杉田議員の提案

話を元に戻しましょう。

上記の考えや説を踏まえた上で、杉田議員の発言を見ていきたいと思います。

メディアには発言全体を取り上げたものが少ないように感じるのですが、実際の発言内容は以下の通りです。

子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり「生産性」がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか。にもかかわらず、行政がLGBTに関する条例や要項を発表するたびにもてはやすマスコミがいるから、政治家が人気とり政策になると勘違いしてしまうのです。

僕はこの発言がもっともだと思ってしまいます。

同性カップルは共働き率が高く、子どももいないので支出が比較的少ないです。

それならば同性カップルたちが納めた税金を、子育て支援に遣う方がヒトという種全体のためになります。

こちらの方が血縁選択説的にも正しいのではないでしょうか。

理想家の方々の中には人間は子ども生むために生きているわけではないという人もいるでしょう。

それは進化論の否定となるため、事実ベースで見ている人とは議論になりません。

道徳家の方々は「生産性がない」ことを否定します。

しかしLGBTはむしろ生産性がないことに存在意義があると僕は考えています。

生産性がないことを否定してしまったら、LGBTを否定するのと同じような気がします。

杉田議員の他の発言

全文を読んだ方はわかると思いますが、個人的には杉田議員はLGBTに関心を持っていて、よく考えている方だと思います。

記事中の発言をいくつか引用したいと思います。

 しかし、LGBTだからと言って、実際そんなに差別されているものでしょうか。もし自分の男友達がゲイだったり、女友達がレズビアンだったりしても、私自身は気にせず付き合えます。職場でも仕事さえできれば問題ありません。多くの人にとっても同じではないでしょうか。
 そもそも日本には、同性愛の人たちに対して、「非国民だ!」という風潮はありません。一方で、キリスト教社会やイスラム教社会では、同性愛が禁止されてきたので、白い目で見られてきました。時には迫害され、命に関わるようなこともありました。それに比べて、日本の社会では歴史を紐解いても、そのような迫害の歴史はありませんでした。むしろ、寛容な社会だったことが窺えます。
 どうしても日本のマスメディアは、欧米がこうしているから日本も見習うべきだ、という論調が目立つのですが、欧米と日本とでは、そもそも社会構造が違うのです。

以前秋夜長物語の記事で書いたように、歴史的に日本はLGBTに寛容でした。

元の文化が違うのだから、単に欧米を模倣することは無意味だと僕も思います。

 LGBTの当事者たちの方から聞いた話によれば、生きづらさという観点でいえば、社会的な差別云々よりも、自分たちの親が理解してくれないことのほうがつらいと言います。親は自分たちの子供が、自分たちと同じように結婚して、やがて子供をもうけてくれると信じています。だから、子供が同性愛者だと分かると、すごいショックを受ける。
 これは制度を変えることで、どうにかなるものではありません。LGBTの両親が、彼ら彼女らの性的指向を受け入れてくれるかどうかこそが、生きづらさに関わっています。そこさえクリアできれば、LGBTの方々にとって、日本はかなり生きやすい社会ではないでしょうか。

これも本当に同意します。

LGBTは自殺率が高いですが、自殺にまで至る原因というのは社会的な差別にあるのでしょうか。

それよりも、親が理解してくれないこと、好きな人に好きと言えないこと、子を生めないことなどの方が絶望に至る原因だと僕は考えます。

そもそも僕たちの苦悩の大半は、行政の経済支援などで解決できる問題ではないです。

おわりに

僕は生産性がないことには理由があるとずっと思っていました。

そのため、杉田議員の生産性がないという発言に特に怒りが湧いたりはしませんでした。

生産性のないことに意味がある、パラドックス的なこの考えは生きることを楽にしてくれると思います。

『ハリー・ポッター』の原作者であるJ・K・ローリングは、かつて生活保護を受給していたそうです。

人間は休んだり、役割分担をしたりしないとそれこそ生産性のあることができなくなります。

コロナが流行してからというもの、僕たちの生活からは生産性のないものがすっかり排除されました。

無駄だった通勤、無駄だった会議、付き合いで参加する飲み会。

生活に必要のないものが全てなくなりました。

残ったものは最低限の生活と、最低限の人間関係。

この生活、楽しいでしょうか。

僕はこの3年間、生きている実感を得る機会が減ったような気がします。

今まで無意味だと思っていたものが、実は必要なものだったと気づきました。

LGBTだって、きっと生きていることに意味はあるはずです。