イギリスのLGBT団体、ストーンウォール(Stonewall)の問題点
こんにちは。最近は雨が降ることも多く、梅雨が近づいているのを感じます。
雨の日は外出が億劫になりますが、紫陽花が大きくなっていくのを見るのが楽しいです。
さて、6月はプライド月間(LGBTQ+の権利を啓発する活動が行われる期間)だそうです。
レインボーフラッグを掲げるなら、梅雨明けの7月にすればいいのにと思っていました。
6月である理由は、この運動がアメリカから始まったからだそうです。
それは今から54年前の1969年6月、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」で起こった暴動が由来だそうです。
ストーンウォールの暴動について、Wikipediaに詳しく書かれてあるのですが、長いのでChatGPTに教えてもらいました。
ストーンウォールの反乱(Stonewall riots)は、1969年6月28日から7月3日にかけて、アメリカ合衆国ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにあるゲイバー、ストーンウォール・インで発生した一連の抗議活動です。これは、LGBTQ+コミュニティが警察の過剰な取り締まりとハラスメントに対して抵抗したもので、現代のLGBTQ+権利運動の火付け役となりました。
当時、同性愛行為はアメリカの多くの地域で違法であり、LGBTQ+の人々が自由に集まることができる場所は非常に限られていました。ニューヨーク市警は、そうした場所の一つであるストーンウォール・インに対して頻繁にレイドを行っていました。
1969年6月28日の夜、警察は再度ストーンウォール・インをレイドし、数多くの人々を逮捕しようとしましたが、この時は通常と異なり、LGBTQ+コミュニティのメンバーたちが反抗しました。これが反乱の開始となり、数日間にわたる衝突につながりました。
これらの反乱は、それまで社会の周辺部に追いやられていたLGBTQ+コミュニティによる公然とした抵抗の象徴であり、その後のLGBTQ+権利運動に大きな影響を与えました。ストーンウォールの反乱の1年後、1970年6月28日には、ニューヨークで最初のゲイプライドパレードが開催されました。これが現在のプライドパレードの起源となり、世界中の多くの都市で毎年開催されています。
当時のアメリカのLGBTを取り巻く環境には同情すべきものがあります。
ゲイマッサージができるのは、長い世界の歴史を見ると幸運なことなのかもしれないと思いました。
ストーンウォールの反乱は起こるべくして起こったものだと思いますし、その後の流れについても理解できます。
しかし、現在のイギリスにはこの反乱から名づけられたLGBTの権利団体、「ストーンウォール」という悪名高い団体があります。
当初はLGBのための運動をする団体だったようです。
しかしヨーロッパ各国で同性婚が認められるとともに、活動意義がなくなり、トランスジェンダー権利の運動へと移行していきました。
この団体がイギリス社会を混乱させ、今では反発運動も起きています。
このストーンウォールという団体について調べていたのですが、おもしろかったです。
イギリスの People Management の記事、「なぜ企業はストーンウォールのダイバーシティプログラムから離れるのか?」という記事がわかりやくすまとまっていました。
今回はこの記事を翻訳して紹介していきたいと思います。
記事本文
原文: Why are employers leaving Stonewall’s diversity programme?
なぜ企業はストーンウォールのダイバーシティプログラムから離れるのか?
ストーンウォールはトランスジェンダーの権利と言論の自由に関する議論の中心となっており、大手組織がストーンウォールの多様性受け入れ支援から手を引く原因になっている。フランシス・チャーチル 2021年7月15日
設立の20年前に起きたストーンウォールの反乱が名前の由来である、LGBTQ+の権利団体ストーンウォールは、1989年に設立されて以来、ヨーロッパ最大のLGBTQ+の権利団体であり、ゲイ、レズビアン、そしてバイセクシャルの権利を求める運動の最前線に立ち、2015年にはトランスインクルーシブとなった。
しかしここ数ヶ月、ストーンウォールはトランスジェンダーの権利に関する議論の中心となっている。ストーンウォールは個人が選んだ性別になれるべきだという考えを堅持しているが、同時にこの問題に関する言論の自由を抑圧し、女性に有害だとも言われている政策を企業に採用するよう働きかけているとして非難されている。
職場での多様性促進のためのダイバーシティ・チャンピオン・プログラムの一部であった多くの有名企業も、最近ストーンウォールとの提携を終了した。その中には Channel 4、Ofsted、内閣府、英国の平等監査機関である平等人権委員会(EHRC)などがあるが、最後の2つはこの制度はもはや金銭的に見合う価値を提供していないと述べている。
しかしながら、この議論の背後には何があるのか、法的立場はどうなっているのだろうか。People Management はこの問題を検証する。
ストーンウォールのダイバーシティ・チャンピオン・プログラムとは?
ストーンウォールのダイバーシティ・チャンピオン・プログラムに登録し、費用を支払っている企業は、LGBTQ+の問題についてストーンウォールから支援を受ける。ストーンウォールは850以上の企業と協力しており、専門知識、助言、最善の取り組みを提供し、企業の多様性に関する方針の策定と実施を援助しているという。加えて、この制度のメンバーはストーンウォールの職場平等指標とグローバル職場平等指標に入れられ、他の企業と比較される。このリストは、LGBT多様性上位100社の年次概要報告として発表される。
なぜ企業はこの制度から離脱するのか?
企業が挙げている理由の多くは、この制度がもはや金銭的価値に見合わないからというものである。リズ・トラス平等大臣が同じ理由で政府機関はこの制度から撤退すべきだと示唆したという報道さえあった。(後の声明で、彼女は外部との関わりに関する決定は「個々の部門に委任された」と述べた。)しかし、ストーンウォールはトランスジェンダーの権利に関する立場について反発を受けており、これが複数の企業が制度から手を引いた理由であると報じられている。ストーンウォールは自分が選んだ性別になれるべきだと主張しているが、この考えに賛同しない人々(例えば、トランスジェンダー女性が女性専用の施設を使用したり、女性のスポーツ競技に参加したりするのを許可することは、女性の権利を侵害していると主張する人々)にトランスフォビア(トランス嫌悪)であるというレッテルを貼ることで、この問題に関するいかなる議論をも封じ込めようとしていると非難されている。また、イギリスの法律では現在、セルフIDは認められておらず、性別変更は2004年の Gender Recognition Act (性別認識法)により規定されており、性別違和の医学的診断が必要であるという批判もある。
ストーンウォールはまた、2010年の平等法には「ジェンダーアイデンティティー」の保護が含まれているという誤った助言をしたり、ストーンウォールのダイバーシティ・チャンピオン制度を利用し、企業に対して他のグループに悪影響を及ぼすとも懸念されているトランス支持の方針(例えば、トランス女性が女性専用スペースに入れるようにしたり、ジェンダーに中立な言葉の使用を強制するなど)を採用するよう働きかけているとして非難されている。トランス支持の方針は、女性の安全や権利への脅威ではないと主張する団体もある。
この問題は、ストーンウォールがジェンダークリティカルな(トランス排除的な)フェミニストの発言を封じ、大学に誤った助言をしたという、ダイバーシティ・チャンピオン制度から手を引いたエセックス大学の報告書によって最高潮に達した。
ストーンウォールはこの問題について何と言っているのか
ストーンウォールは、ダイバーシティ・チャンピオンプログラムが言論や議論の自由を抑圧しようとしているという、いかなる主張を否定している。「プログラムと私たちのスタッフは、いかなる組織の広範な意思決定に影響を持ちません」と声明で述べた。また、最近行われた検察局のダイバーシティ・チャンピオンプログラムのメンバーシップに対しての司法審査について、裁判官が議論の余地のある主張がないと判断し、棄却されたことについても言及した。「国の慈善団体が国の意思決定者と関わるのは至極当然のことです。また、サービスの提供を直接支援するために、国の慈善団体が公共部門の組織に個別にサービスを提供することも自然なことです。」とストーンウォールは述べた。
ストーンウォールはまた、平等法に関してのアドバイスの正確性が「強固で正しい」ものであるという考えでいる。同法は「性別適合の広範な定義」を示し、この法による保護は「出生児の性別から離れることを”申告”すればすぐに適用される」としている。
エセックス大学の報告書について、ストーンウォールはその主張には「何の根拠もなく」、「報告書で述べられている決定には全く関与していない」と述べた。また、ジェンダーに中立的な言葉の問題については、人事における「mother」や「father」のような語の使用を止めようとしているのではなく、企業に「mother and other pregnant employees/birth parents」などのような、より包括的な用語を使用するよう呼びかけていると述べた。
ストーンウォールはまた、ダイバーシティチャンピオンプログラムのメンバーシップが6月までの1年間で30社増加したと述べ、2001年に同制度が設立されて以来、多くのより大きな団体が独自の多様性プログラムを開発してきたと指摘している。
企業は法的な観点から何を考慮するべきか
どのような人が同性スペース、とりわけ女性専用スペースに入れるかという議論は、トランスジェンダーの権利に関する議論での主要な争点の1つである。現状では、平等法は「正当な目的を達成するための相応の手段」であれば、トランスジェンダーの人々を同性スペースから排除することを認めている。しかし、「可能な限り制限的に適用されなければならず、トランスセクシュアルへのサービスの拒否は、例外的な状況でのみ発生しなければならない」という制限が追加されており、企業が一律的な方針を避け、個々の状況に応じて男女別スペースへの侵入制限を適用するべきであることを意味している。
People Management は人事に関しての記事を出しているので、このような終わり方になっています。
ストーンウォールの問題点について、コンパクトにまとめていると思いました。
ただ、イギリスの国内事情を知らないと理解できない部分が多々あります。
ここからは、記事の内容と関連するイギリスの国内事情や法律についても見ていきたいと思います。
平等法の誤った解釈
イギリスの法律では現在、セルフIDは認められておらず、性別変更は2004年の Gender Recognition Act (性別認識法)により規定されており、性別違和の医学的診断が必要であるという批判もある。
ストーンウォールはまた、2010年の平等法には「ジェンダーアイデンティティー」の保護が含まれているという誤った助言をしたり、
この指摘の中身は複雑ですが、非常に重要な点です。
結論から言うと、ストーンウォールがイギリスの法律を恣意的に解釈し、LGBTQ+の専門家を会社や組織に派遣させ、誤った教育をしていました。
この2010年平等法についてですが、内閣府のHPに日本語訳があります。
日本語だけではわかりづらいので、日本語訳に原文の英語も載せながらイギリスの平等法を読んでいきたいと思います。
この法律は、年齢、障害、性適合、婚姻及び市民的パートナーシップ(同性婚)、人種、宗教・信条、性別、性的指向を理由とする差別を禁止しています。
以下はその内の「性適合」の項です。
7 性適合(gender reassignment)
(1)性適合(gender reassignment)という保護特性を持つ者とは、性の生理学的その他の特質を変更し自己の性を再適合する目的で、ある処置(または処置の一部)の実行を計画し、実行中であり、または実行した者をいう。
(2)性転換者(transsexual)とは、性適合という保護特性を持つ者をいう。
(3)性適合(gender reassignment)という保護特性に関して、
(a)特定の保護特性を持つ者とは、性転換者(transsexual)をいう。
(b)保護特性を共有する者たちとは、性転換者(transsexual)たちをいう。
性転換者(transsexual)を保護するためにある文章です。
この法文を読む上で重要なのは、「性転換者(transsexual, 下の図では左下の Trans man と Trans woman がこれにあたります)」と「トランスジェンダー(trans gender)」は別物であるということです。
トランスジェンダーというのは umbrella term (総称) のようです。
トランスジェンダー/トランス
トランスジェンダー(「トランス」と短縮されることもある)は、性転換者(transsexual)、異性装者(cross-dressers)(トランスヴェスティズム(服装倒錯者)と呼ばれることもある)、第3の性として認識する人々など、外見や特徴が典型ではない性別として認識する幅広いアイデンティティを表すために使用される総称である。トランス女性(transwoman)は女性であると認識するが、生まれたときには男性に分類され、トランス男性(transman)は男性であると認識するが、生まれたときには女性に分類するのに対し、他のトランスの人々は性別二元論(gender-binary)によっては認識しない。トランスジェンダーの中には、手術を望んだりホルモン剤を服用したりして自身の体をジェンダーアイデンティティ(性同一性)に合わせたりする人もいるが、そうでない人もいる。
専門用語ばかり疲れますが、性転換者(transsexual)とはトランスジェンダーの下位概念であることがわかります。
国連の定義によれば、ただ女装する人もトランスジェンダーですが、性転換者(transsexual)ではないためイギリスの平等法の保護対象ではありません。
ストーンウォールは「トランスセクシュアル」を「トランスジェンダー」に置き換えて解釈し、平等法はセルフID(性自認)を認めているという誤った解釈を広めました。
LGBT当事者の僕でさえ、調べるまでトランスジェンダーとトランスセクシャルが同じではないとは知りませんでした。
大部分の日本人はこの2つを混同していると思います。
おそらく大部分のイギリス人もそうだったために、ストーンウォールの言うことを信じていたのでしょう。
イギリスの平等法に倣えというのであれば、日本にはすでに性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律が存在します。
また、日本国憲法第14条では「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、 信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とされています。
現状、日本に新たな法律が必要なのかは疑問です。
ちなみに触れておくと、イギリスの平等法では性的指向に関しては以下のようになっています。
12 性的指向(sexual orientation)
(1)性的指向(sexual orientation)とは、ある者の下記の者たちに対する性的指向をいう。
(a)同性(same sex)である者たち
(b)異性(opposite sex)である者たち
(c)いずれかの性別(either sex)の者たち
(2)性的指向(sexual orientaion)という保護特性に関して、
(a)特定の保護特性を持つ者とは、特定の性的指向(sexual orientation)を持つ者をいう。
(b)保護特性を共有する者たちとは、同一の性的指向(sexual orientation)を持つ者たちをいう。
ここでは生物学的な性(sex)の話をしており、いわゆるQ+の社会的な性(gender)については述べられていません。
以上を踏まえると、LGBT法案に関する松岡氏の以下のツイートは誤りであることがわかります。
平等法では性自認は認められていません。
読み込めないので画像で↓
松岡氏はストーンウォールと関わりがあるようなので、彼らの言い分を信じてこのように発言していた可能性もあります。
しかし、それと同時に今ストーンウォールがイギリスで問題になっていることを知らないはずがないと思います。
これはどちらにせよ問題ですよ。
わざと誤った解釈や事実を広めたのなら普通に問題です。
故意ではなかったとしたら、当事者の代表かのようにLGBTの権利活動をしている人が、誤った情報を広めているということになります。
事実や法律を恣意的に解釈するような人たちがいる中で、何の制限もなく「差別は許されない」なんて法律があったら、社会はどうなるでしょうか。
イギリスのように混乱に陥ると思います。
そもそもイギリスの平等法も9つの特性への差別に限定された法律です。
ちなみに、以下の The Guardian の記事によると、現在イギリスではこの平等法の「性」の再定義が行われており、明確に「生物学的な性」にしようとしています。
平等法の変更は、トランスジェンダーや男女別スペースにどのような意味を持つだろうか。
日本語でもこの法改正に触れている記事がありました。
イギリスが「トイレは男女別」を義務付けた理由 活発化するトランスジェンダーをめぐる議論
イギリスでは中央政府がスコットランド政府に法案取り消しをしたそうですが、その権限が行使されるのは今回が初めてだそうです。
大きな論争になっていることがわかります。
ちなみに、先日見ていたYouTubeの動画なのですが↓
この動画の4:00〜からイギリスの映像が流れます。
まるで現在進行形のイギリスの平等法に関する論争など存在しないかのような報道です。
都合の良い部分しか報道しないのはどうなのでしょうか。
エセックス大学の報告書
さて、記事内容の別の部分について見ていきましょう。
この問題は、ストーンウォールがジェンダークリティカルな(トランス排除的な)フェミニストの発言を封じ、大学に誤った助言をしたという、ダイバーシティ・チャンピオン制度から手を引いたエセックス大学の報告書によって最高潮に達した。
これについては以下の英語記事がわかりやすいです。
簡単に言えば、エセックス大学がストーンウォールからのアドバイスにより、トランス排他的なフェミニストの教授2人から言論の自由を奪ってしまったことを謝罪し、ストーンウォールを厳しく批判しているという内容です。
イギリスの大学でこんなことが起きていたのかと思うとショックです。
ヴォルテール
私は君の意見には反対だ。だが君がそれを主張する権利は、命を懸けて守る。
イギリスの自由社会に大きな影響を受けたフランスの哲学者、ヴォルテールの言葉とされるものです。
イギリスは言論の自由が保障された国であってほしいと個人的には思います。
検察局へのストーンウォールの影響
また、最近行われた検察局のダイバーシティ・チャンピオンプログラムのメンバーシップに対しての司法審査について、裁判官が議論の余地のある主張がないと判断し、棄却されたことについても言及した。
これについては以下の英語記事を。
イギリスの検察局がストーンウォールと提携を結び、検察官にトランス寄りの教育をしていることが司法に悪影響を与えており、それが違法であると匿名の15歳の少女により訴えられたものです。
確かにストーンウォールの制度に入っていること自体はなんら違法ではないので、この申し立ては難しかったのかもしれません。
しかしイギリスの検察局は、この People Management の記事が書かれた2ヶ月後にストーンウォールのダイバーシティ制度から撤退したそうです笑
イギリスの企業や組織が正気に戻ってきてよかったです。
J.K.ローリングの発言が炎上した理由
以前、ハリーポッターの原作者であるJ.K.ローリング氏の発言が炎上したことがあります。
翻訳: 「『生理のある人(People who menstruate)』たしかそんな人たちを表す言葉があったはずなんだけど。誰か助けてほしい。Wumben? Wimpund? Woomud?」
「生理のある人」というタイトルの記事に対して、「それは『女性(Women)』でしょ」と言っています。
当時、僕はなんでこんなツイートが炎上しているのかわかりませんでした。
ローリング氏の定義だとトランス女性が含まれないからだそうですが、全然理解できませんでした。
ハリー役のダニエル・ラドクリフも批判していて、ハリーポッターの同窓会番組にも原作者のローリング氏だけが呼ばれないほどのバッシングに遭っていました。
「トランス女性は女性である」というストーンウォールの正義の風潮が、当時のイギリスには充満していたからなんだと、今になってやっとわかりました。
ローリング氏は女性専用スペースの重要さを説いており、女性の権利とトランスジェンダーの権利の訴えがぶつかっている構図です。
この2つはちょうど「あちらが立てばこちらが立たず」の状態です。
両方の権利を理想通りにすることはできません。
けれど今のイギリス国内の雰囲気を考えると、ローリング氏へのバッシングはどんどん弱まっていくと予想されます。
日本のLGBT団体はどうなるか
現在、日本ではLGBTの法制化が遅れていると繰り返し言われています。
「G7の中で唯一日本だけが」という主張が多いです。
しかし、G7は日本以外の国がキリスト教国であるため、同性愛差別禁止の法制化が必要なだけです。
欧米が正しいという価値観は、幕末までにしてほしいものです。
それこそ古い価値観だと思います。
本当にアメリカが正しいのならば、日本は今すぐに銃規制をやめて国民皆保険を廃止するべきです。
イギリスの混乱した社会を見て、わざわざ同じ轍を踏む必要はありません。
いわゆる革新的な社会制度は、ヨーロッパ諸国の社会実験を見てから導入を考えるくらいが、社会全体としてはちょうどいいのかなと思いました。
また、日本のLGBT団体が法制化を急いでいるのは、ストーンウォールの化けの皮が剥がれ始めているからなんじゃないかと思いました。
ストーンウォールのダイバーシティチャンピオン制度は、以前に触れたジェンダーレストイレが生まれた原因と思われるプライド指標と同じものです。
日本のLGBT団体はストーンウォールにノウハウを学んだのでしょう。
国民が虹色から発される胡散臭さに気づく前に法制化してしまいたいのだろうなと思います。
ストーンウォールや日本のLGBT団体のように、自分たちの理想を求めることについては悪いことだとは思いません。
しかしその理想を実現するために、現実にある事実や法律、権利を侵害される人々を無視してしまっていると思います。
こんなことを続けていたら、日本のLGBT団体もいつかストーンウォールのように国民から見放されてしまうでしょう。